福祉用具・介護機器等のレンタル事業者。


福祉用具・介護機器等のレンタル事業者は、「福祉用具購入指定事業者」となるための一定の基準こそあるものの、その数も多く、また事業規模も大小さまざまです。

現在、指定事業者の大半は企業ですが、企業以外にはNPO法人社会福祉法人なども、福祉用具のレンタル事業者になることができます。

これだけ多くのレンタル事業者があるなかで、利用者としてはどのような点に注意しながら、事業者を選んでいけばよいのでしょうか。



スポンサーリンク


レンタル・販売と、福祉用具専門相談員。でも説明しましたが、まずは「担当のケアマネジャーに相談する」という方が多いことでしょう。


もちろんそれは正しい方法なのですが、ケアマネジャーの主な役割は、福祉用具以外にも、ケアプランの策定を含め介護保険サービス全般について事業者と利用者の調整をすることにありますので、福祉用具に関わる細かな部分については必ずしも詳しくない場合があります(もちろん、福祉用具専門相談員の資格をあわせ持つ詳しいケアマネジャーもいますが)。


したがって、介護用品や福祉用具を選ぶ際には、利用者の毎日の行動パターンや行動のクセ・好き嫌いや考え方などをよく知っている家族が、担当のケアマネジャーと相談して情報を共有しながら選ぶほうが、より適切な選択ができるはずです。

利用者の快適な生活を支えるためにも、担当ケアマネジャーに判断を丸投げにせず、家族も自分たちなりの目線をもって、事業者を主体的に選んでいきたいものです。


福祉用具のレンタル料金は介護サービスと異なり、事業者が自由に決めることができるので、たとえ同一の福祉用具でも、事業者によってレンタル料金がずいぶん異なる場合もあります

レンタル料金のなかには、福祉用具の修理や消毒の料金(これらはレンタル事業者に義務づけられています)、また用具の搬入や搬出に関わる事業者側の人件費も含まれています。


そのため事業者側の対応や提供サービスの質、そして用意している福祉用具のラインナップなどによっても、利用者の支払うレンタル料金は影響を受けることになります。

たとえ介護保険の利用により利用者負担が1割で収まるにせよ、どんな事業者を選ぶかによって、福祉用具利用のための支払金額がずいぶん高くついてしまうこともあり得ます。


【2015年(平成27年)4月 追記】

2014年(平成26年)年3月から、福祉用具価格の公表システムがスタートしています。公益財団法人 テクノエイド協会のホームページにおいて、福祉用具の製品価格についての公表が行われるようになりました。

福祉用具情報システム(公益財団法人 テクノエイド協会)

福祉用具の利用を検討する方は、これによって事業者選びの参考とすることができます。

また2015年(平成27年)の制度改正により、貸与事業者が複数の福祉用具を貸与する場合に、都道府県に減額ルールをあらかじめ届け出ることによって、通常の貸与価格から減額、すなわち事業者側が値下げして貸し出すことができるようになりました

この「福祉用具を複数貸与する場合の価格情報」についても、上記公表システムによって、価格の相場チェックができるようになりました。

福祉用具の利用者にとって複数貸与によって価格が下がることはメリットである一方、事業者側が価格競争に巻き込まれ、必要のない福祉用具までセットで貸し出されるリスクもあります。

あらかじめケアマネジャーや福祉用具専門相談員とも、よく相談しておきたいものです。


福祉用具のレンタル事業者を選ぶポイントはいくつかありますが、主なものをあげておきます。

まず福祉用具に関わる説明を、その利用者が使うことを前提として、きちんとていねいに行ってくれる事業者かどうか。


「説明のていねいさ」の中には、もちろんレンタル料金の内訳明細がきちんとわかりやすいかどうかということや、その福祉用具の利用が最適と判断した理由について、利用者が納得する説明のできる事業者かどうか、といったことも含まれます。


本来ならば、利用者がどんな住居環境で暮らしていて、身長や体格などがどれくらいで、どのような生活習慣があるかなどを事細かく、事業者のほうから進んで確認にきてしかるべきです。


また、利用者が認知症など他の病気を併発しているかどうかによっても、最適な福祉用具は異なってきます。そのあたりの確認をきちんと行う事業者かどうかも、観察する必要があります。


さらに、レンタルする福祉用具を決定し契約・搬入後も、利用状況や使い方の適正さについて気にかけてくれ、時おり状況を確認しにきてくれる事業者かどうか。

これも大切なポイントです。いわゆる「アフターケア」に優れた事業者かどうかです。


特に福祉用具は、説明は使用開始時に一回行えばそれで終わりという類のものではなく、利用者の状況に応じて、繰り返しの説明や応用的な使い方の説明などが必要になってくるものです。


介護する家族や利用者本人がうっかり使い方を忘れたり、あるいは誤った使い方をすることによって、重大な事故につながる恐れもあるからです。


また、それらを気にかけてくれるかどうかもさることながら、利用する家族が質問したり確認したいときに、すぐに連絡をとれる体制を敷いている事業者かどうかも大事です。

土日は休みで連絡がとれない…とあっては、毎日その介護機器・福祉用具を使っている利用者は困ってしまうからです。


ほかにも確認すべき点はありますが、基本は「介護機器・福祉用具を使う本人や介護する家族の目線にたって、説明責任を果たしてくれる業者かどうか」です。


そのあたりに誠意が感じられず、そのくせレンタルや販売契約の締結をやたらに急がせる事業者は十分に警戒してかかったほうがよいでしょう。



スポンサーリンク


すべての記事(記事一覧)こちらから



▲先頭に戻る