福祉用具、選択のポイント(3)〔入浴・入浴支援用具〕。
・入浴(入浴支援用具)
入浴は要支援・要介護者にとって、単に体を洗うだけではなく、一日の疲れを取るためのリラックス効果や、寒い時に体を温めるための保温効果など、さまざまなメリットがあります。
したがっては、本人にとって、入浴は日々の生活の中の楽しみのひとつだという認識を、介助者の側も持つことが必要になります。
入浴においては、自宅入浴と訪問入浴がありますが、とりわけ自宅入浴の場合は改修工事が必要になる場合も多いですし、またどうしても、入浴の介助時における家族の負担の増加を招きがちになります。
そのため入浴にかかわる福祉用具を導入する際には、その浴室までの移動方法や浴室の構造といった、個々の住宅における事情を考え合わせた検討を行う必要があります。
さて、自宅での入浴に際しては、浴室までの移動、着衣と脱衣、身体の洗浄と浴槽への出入りの大きく四つが、注意すべきポイントとなります。
まず浴室までの移動に際しては、浴室に至るまでの通路に段差がある場合、車いすなどで移動する時に注意が必要になります。
ケースによっては、廊下から浴室までの手すりの設置工事を検討する必要も、出てくるでしょう。
着衣と脱衣についても、たって行う場合は、基本的に介助者の助けが必要になりますが、介護の程度が軽い場合には、手すりを利用しながら本人が自らやる方が良い場合もあります。
本人がひとりで立ったまま、着衣や脱衣をできない場合は、介助者が本人の体を支えながら衣服の着脱を行うことになるため、二人分の動作が十分なゆとりをもって行えるよう、脱衣場のスペースを確保しておく必要があります。
今後の浴室の改装を考えている場合には、将来的なことも視野にいれ、脱衣場のスペースを広めにとっておくことも、考慮するべきでしょう。
なお浴室から脱衣場へ移動する際に、浴室の段差が脱衣場から一段低くなっている場合が往々にしてあります。
その場合は手すりを設置するか、段差解消のための改装の検討を行う必要があるでしょう。
身体の洗浄の際は、本人のみならず、介助者がスムーズに体の洗浄ができるようにするため、どの方向を見て、入浴用の椅子にどのように座るべきか、また洗う動作を妨げないための最もスムーズなやり方はどうか、などについて配慮が必要となります。
最後に、浴槽への出入りです。
まず、本人が立ったままで浴槽に入れそうな場合は、手すりがあると、入るときの動作の安定感を増すことができるでしょう。
また座って入る場合は、入浴台やバスボードなどを、浴槽のへりの高さに合わせて設置することになります。
本人がそれらを利用して体を少し回転させながら、またいで浴槽に入るかたちになります。
逆に浴槽から出る時には、浴槽に入る時と同様、必要に応じて介助者がパスポートなどをセットし使用することになります。
浴槽から立って出るにせよ、あるいは座って出るにせよ、出入りの両方において本人が身体を支えるために使用しやすいような専用手すりの設置を検討してみるのもよいでしょう。
なお当然ながら、入浴中においては、本人が浴槽内において体のバランスを崩すことなどのないよう、介助者がよく注意しておく必要があります。
立って、ないし座って浴槽をまたぐのも困難なほどに、要介護度が進んだ場合には、入浴用リフトや入浴用のつり具、あるいは浴槽内昇降機の設置を考える必要が出てきます。
この場合に注意すべきは、それらの福祉用具の利用によって介助者にとってのスムーズな介助が促されるかどうか、ということです。
介助の負担感が増すような動作を入浴の都度に強いられるようであっては、長い目でみて、介助者が介護疲れを起こさないとも限りません。
その意味でも、入浴支援に関わる福祉用具の選択においては、個々の浴室の状況に応じた慎重な検討が設置前において必要となります。
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