介護ベッド利用中の事故、現状と防止策。


介護用ベッドの選び方のポイントを 福祉用具(2)〔車いす・介護用ベッド〕。 においてご説明しましたが、新たに(ないしレンタルでの交換により)導入するときは、介護ベッド事故の発生防止策を講じておく必要があります。


消費者庁によれば、介護ベッドでの重症事故は63件、うち死亡事故が32件(2007年度以降の件数)発生しています。これらの事故は、家庭内で最も多く起きています。

特に介護ベッドを設置して間もない時期に、まだ使用方法をよく理解していないための事故が起こりやすいとされます。

また事故が発生する時間帯としては、周囲が薄暗く、また身体の動きも鈍くなっている「夜半から朝方」にかけて多いとも言われます。



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ベッドからの転落や寝具の落下を防ぐために介護ベッドの脇に設けられている2つの「サイドレール(転落防止柵)」のすき間に誤って首を挟んで死亡する事故が目立つほか、サイドレール内のすき間に腕や足を挟めて骨折する事故も発生しています。

最新事故件数報告(医療・介護ベッド安全普及協議会)

現在の介護ベッドでは、新JIS規格上はサイドレール間のすき間を大人の首が入り込まない6センチ未満にする数値基準が設けられています。また、事故を防ぐためにサイドレールにかぶせる専用カバーも販売・レンタルされています。

消費者庁によると、上述の死亡事故は、2009年以降に改訂された「新JIS規格」ではない手すりで発生しているそうです。


したがって、新JIS規格でない介護ベッドを使う場合は、サイドレールのすき間を埋める、あるいはサイドレール全体をカバーで覆う対策が必要になります。

新JIS規格以前の旧タイプがまだかなり使われているのが現状でもあり、念のため現在の使用機種について、チェックしておきたいものです。

医療・介護ベッド安全点検チェック表【PDF】(医療・介護ベッド安全普及協議会)

電動介護ベッドの場合、手元スイッチを所定の場所に置かなかった場合で、無意識にスイッチに触れて誤動作を招くことからくる事故がみられます。認知症の要介護者が無意識にボタンを押し続け、モーターが焼き付く恐れもあります。


キャスター付きの福祉用具・介護機器は介護する側にとって便利であっても、介護事故を招く恐れがあることに注意が必要です。

ベッドの足に移動用の車輪がついている場合、たとえ固定してもベッドがぐらついた感じがなかなか拭えないため、利用者に不安感を与えることがあります。

本人のことを考えれば、移動用車輪がついていない介護ベッドがベターですが、現状ですぐの交換が難しい場合は、滑り止めマットをベッド下に敷くとよいでしょう。

ベッド本体以外であっても、たとえばベッドサイド脇に置いたキャスタ-付きテーブルに、ベッドから立ち上がる時にそこに体重をかけて移動しようとして、キャスターが滑って転倒する事故も起きています。


介護ベッドについては、利用上の不具合や事故につながる恐れ(ヒヤリハット)を感じた時は、担当のケアマネジャーに伝え、レンタル・購入した福祉用具事業者に連絡をとってもらうとよいでしょう。

また半年に一回程度は福祉用具・介護機器類の点検訪問を実施してくれるなど、アフターケア体制のしっかりした事業者からレンタルしたいものです。



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